続・徒然草子
童子の粋狂話 徒然に・・・
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DATE: 2007/02/19(月)   CATEGORY: 小猿
あるある軟膏
今から40年近く前・・・

私がまだ小学生の小猿の頃。
天王寺公園には大道芸の方々を見ることが出来ました。
その中に、イワユル「がまの油売り」でしょうか、
万能薬のような軟膏を売るおじさんが居たのです・・・・

「この軟膏を塗るとどんな傷も治るよ」

「刀やナイフで切った傷もこのとおり・・・」

と、古い傷を見せつつ語るおじさんの喋りは骨頂を向かえ、

「そこの、ボン(私のこと)。ちょっとこっち来ておっちゃんの手伝いしてくれるか」

おじさんのそばに寄ると、軟膏を塗ったちり紙を渡されました。

「今からおっちゃんは蛇にこの腕を噛ませるからな、
 この蛇はすごいで、猛毒やで、
 噛ませたらおっちゃんはすぐに動かれへんようになるからな、
 ボンはすぐにその薬を噛まれたところに塗るんやで、ええな。」

そう言いながら布袋を取り出します。

私・・・

蛇が大の苦手です。

「噛まれて動かれへんようになるんなら、蛇はどないするんや・・・」

頭の中はそのことでいっぱいです。
おじさんは袋を開けて中の蛇を見せて集まった客に確認させます。
マムシ・・・なのかは判りません。
そこらの畑や田んぼで見る、シマヘビとは明らかに違うようです。

そして、講釈は続きます。
この蛇の毒は相当強いとか、この坊主が失敗したら命が危ないとか・・・
私は軟膏を塗ったちり紙を手の平に乗せて、身構えています。
私が薬を塗るタイミングを誤まれば、おじさんの命が危ないのですから当然です。

しばらく講釈が続いたあと、袋の蛇を足元に這わせたりします。
なんとなく元気で強そう、毒もあるに違いないと思えてきます。
なにより、蛇と言うだけで怖いのですから・・・
その蛇をつかんで腕に巻きつかせると、再び講釈が始まります。

その後、30分は経過したでしょうか、
不動の姿勢で身構えていた私の手も痺れてきました。
おじさんはまだ喋っています。

その時、客の一人が言いました。

   客:「わし、一つもらうわ」
おじさん:「あ、いやまだこれから蛇に噛ませて・・・」
   客:「いやぁ、よう効きそうなんわ判ったわ」

そのやり取りを皮切りに他のお客さんも買って帰られます。

そして、見物客は居なくなりました。
気が付けば蛇はいつの間にか袋に戻されていました。

「あの・・・これ・・・」

軟膏を塗ったちり紙をおじさんに見せる私。

「おおっ、ボン、忘れてたわ。その薬はよぅ効くんやで
 それ、あげるからおウチに持って帰ったらええわ」

帰る途中で捨てました。

蛇に噛ませると言うので緊張しながらずっと持っていたのです。
命が危ないと言うから身動きせず構えていたのです。

「インチキやんか」

私はそう思いました。

けれども、毎週のようにそこで商売するおじさんが食ってかかられているのを見たことはありません。

sakuraらしき客の調子に乗せられて買って帰った客が文句をいうようなシーンも見たことはありません。

皆、当然ながら判っていたのでしょう。
判っていながら、流暢な講釈のしゃべり、蛇を操る技、
それについての御代を置いて帰られたのかもしれません。
見物料に対する代価だったのです。

軟膏はオマケ。

そう考えれば腹も立たないのです。
その頃の大人は、そんな夢のような万能薬など有り得ないことくらい
ちゃんと知っていたのですね・・・
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COMMENT

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● 寅さんみたいな感じですね(〃 ̄ω ̄)
U-ni | URL | 2007/02/19(月) 18:20 [EDIT]
関東では、高尾山のがまの油売りが有名だって
いうのを聞いたことがありますが、
実物はお目にかかったことはないです(・ε・)
● がまの油売り
しゃらら | URL | 2007/02/19(月) 23:29 [EDIT]
テレビでしか見たことはありませんが(しかも時代劇)
それはやっぱりがまの油と浴似たものなのでしょうか。
がま蛙のあぶらは本当に効くのだと聞いたことがありましたが…。

それにしても雪仙童子さんのお話は、まるで映画のようであったりしますね。
軟膏を売っていたおじさんもたいした「話芸」ですが、雪仙童子さんのお話もたいした話芸だと感心します。
● U-niさま
雪仙童子 | URL | 2007/02/20(火) 22:27 [EDIT]
こんばんは。
そうそう。フーテンの寅さんみたいな・・・・
そんな感じです^^;
今思えば公衆の面前で刀を振り回すなんて、銃刀法違反も甚だしいですよね(それからしてウソ臭い・・)
小猿はそんな異様な世界に身も心も没頭していたのです^^;
変にショービジネス化していない野暮さが入りやすかったのかも知れません。
今は懐かしい『大人』の世界だったのでしょうねぇ・・・
● しゃららさま
雪仙童子 | URL | 2007/02/20(火) 22:51 [EDIT]
そうでしょうねぇ~
私も当時は着物に帯び巻いて靴履いて・・・←ウソ
それじゃまるでバカボン丸出しですからね^^;

当時、天王寺の駅から動物園に向かう坂道ではそのような方々をよく見かけました。
大道芸人らしき方も『がまの油売り』の方もどこかウソ臭くて
イワユル『ぱちもん』であったろうと思います。
地下街の通路で『傷痍軍人』に変身する大人を見たり・・・
神社では雨が振り出して一斉に駆け出す足の不自由な物もらいの方々をみたり・・・
昭和40年代はいろんな生活力ある大人を見かけたものです。
それでも大人をからかっても軽蔑することはなく、
尊敬までしなくても敬意は払っていた。
そんな時代でしたよね。

いつも垂れ流しているだけの拙いお話なのに、そう言って頂けると励みになります。
こちらこそ、いつもお付き合いをありがとうございます!
● わたしも・・・、
緑Mama^^ | URL | 2007/02/21(水) 05:16 [EDIT]
実物の【蝦蟇の油売り】は見たことがありません^^;

雪仙童子様は、いつも、貴重な経験をされていますね^^
うらやましいですぅ^^;<でも、怖かったのですよね、ごめんなさい^^;

手の痺れ、伝わってきます^^;
【蛇】、苦手です^^;
毒蛇となると、それはそれは・・・。
想像しただけで・・・。
私も、手がしびれてきましたので、この辺で~!

↓記事のコンビニフィットネス、テレビで見ました~!
内臓に負担がかかるのですか?
う~~~ん、体験したいような、やはり、怖いような^^;
複雑です^^;
● 緑Mamaさま
雪仙童子 | URL | 2007/02/22(木) 00:12 [EDIT]
こんばんは。
この手の体験は他にもあります!←威張ることか^^;
「木下大サーカス」「インドの大魔術団」
機会があればお話いたしますね^^
思うに・・・
『使い易い』小猿に見えたのだろうと・・・
ええ、大人には畏敬の念を抱いておりましたからねぇ~^^;


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